ユニクロ パジャマ 90
ドイルは『ナショナル・レビュー』誌1890年1月号に
「スティーブンソン氏のフィクションの方法」を発表した。
スティーブンソンが前年までに発表した小説をだいたい年代順
に評価して、さらにスティーブンソン小説の全般的特徴を
論じるエッセーである。
このエッセーについて調べていたら、『ドイル書簡集』が
収録した1888年11月20日付の母親あて手紙に行き当たった。
以下、この手紙について記します(日本語版pp.273-4)
ドイルはこの手紙の中盤で『クルンバーの謎』が「眺海の館」に
匹敵するといわないでほしい。優しい母親の感情で批評的判断を
曇らせてはダメですと書き、続いて「眺海の館」の方がずっと
優れている理由を3点箇条書きしている。
「眺海の館」はスティーブンソンが1880年に発表した冒険・
サスペンスの中編でスコットランドの海岸が舞台である。
『クルンバー』も冒険・サスペンス中編で舞台もスコットランド
の海岸である。1888年8月30日から11月8日まで『ペル・メル・
ガジェット』誌に連載された。
そこで連載終了直後に高評価を書いてきた母親に2小説の冷静な
比較で答えたのだろうが、続いてドイルは『マイカ・クラーク』
がスティーブンソンの『さらわれて』か『黒い矢』より優れて
いるというなら、間違いではないかもしれないと記している。
ドイルが「スティーブンソン氏のフィクションの方法」を書いた
のはこの手紙から約1年後で、「眺海の館」『さらわれて』と
『黒い矢』への評価はこの手紙と変わらない。さらに、この手紙
で言及したジョージ・メレディスにも触れている
以上の意味で、この手紙は約1年後に発表したスティーブンソン
論の原型と言えると思う(続く)
↓'The Pavilion on the Link'挿絵、Wikimdia Commonsから転載。
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