知人Lと、形の似た漢字の話をしていた。
形の似た漢字とは、たとえば、「問」と「間」のような漢字である。
Lから、似た漢字がまとめて紹介されているWebページを見つけたとの知らせがあった。
「字の形が似ていて見違えることがある“字”一覧」である。
このような情報に出会うと、情報源に当たってみたくなる僕は、そのWebページに記載されていた本を入手したいと思った。幸い、古本が手に入った。
美作太郎 著「執筆・編集・校正・造本の仕方」ダイヤモンド社(1951年)である。
最初にパラパラとページをめくり、開いたページに、偶然にも、2年ほど前に僕が感じたことがズバリ書かれていて、驚いた。
2年前に感じたこととは次のことである。
数十年前のコピーを整理していたら、その一部が焼けて黄ばんでいた。
黄ばんだページと黄ばんでおらず白いままのページを見比べたら、なんだか黄ばんだページの方が読みやすいように思えた。
偶然に開いたページに書かれていたのは、文字の色と用紙の色について、可読性に優れているランキングである。
11位までのランキング次の通りである。
| 文字の色 | 用紙の色 |
1位 | 墨 | 黄 |
2位 | 緑 | 白 |
3位 | 赤 | 白 |
4位 | 青 | 白 |
5位 | 白 | 青 |
6位 | 黒 | 白 |
7位 | 黄 | 黒 |
8位 | 黄 | 紫 |
9位 | 白 | 赤 |
10位 | 白 | 黒 |
11位 | 赤 | 黄 |
「文字の色:黒 / 用紙の色:白」は第6位に登場する。
このように、「墨」とは別に「黒」も出てくるから、第1位の「墨」は「黒」よりもやや灰色がかった色なのだろう。
いずれにせよ、黒っぽい文字が黄色っぽい用紙に書かれているのが最も可読性が高い、つまり読みやすいようである。
このランキングの情報源が引用されている[*註]ので、その情報源に当たったり、その後の研究を調べてみることが、僕の今後の課題である。
━━━━━━━━━━━━
[*註]山岡謹七「造本と印刷」印刷学会(1949年)
━━━━━━━━━━━━
【2022年1月30日に一部修正】
・可読性ランキングとして上位3件のみを記載していたが、「執筆・編集・校正・造本の仕方」で述べられている11件すべてを記載した。
・注記した文献「造本と印刷」の著者を追記。